離婚のご相談時によくあるご質問

夫婦で離婚を話し合っているのですが、夫が「愛犬は絶対に渡さない」と言っています。離婚した場合、ペットの所有権はどうなりますか?また、ペットを引き取った場合、養育費はもらえますか?

犬などのペットは、法律上は物として扱われます。そのため、離婚に際しては、家や車などと同じく、財産的価値があれば「財産」として財産分与の対象となり得ますが、財産的な価値はつかないことが多いと思われます。どちらにしても、離婚する際に夫婦で協議して離婚後にどちらがペットを所有し飼育するかを決めることとなります。
仮に財産分与の対象になったとしても、生き物であるペットを半分に分けることはできませんので、引取りを希望する側がほかの財産を譲ったり、あるいは相応額の金銭を支払うことによって所有権を得る形が一般的です。

また、子どもと違い、ペットに対する養育費の支払義務はありません。原則として、ペットの飼育にかかる費用は引き取った側が負担することとなります。ただし、離婚する際の条件として、費用の一部負担をお願いしたり、その分を慰謝料に上乗せするといった形で支払を受けることは可能です。

なお、財産分与は「婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産」を分ける制度ですので、結婚する前から飼っていたペットは原則としてその対象になりません。その場合は、結婚前に飼っていた側に所有権があります。

財産分与のほかに慰謝料を請求することはできますか?

できます。
ただし、慰謝料は、配偶者に不法行為(故意または過失によって他人の権利等を侵害し、これによって他人に損害を生じさせる行為)があり、それによって婚姻関係が破綻したという原因と結果の関係が認められた場合に限り請求することができるものです。そのため、離婚する場合に必ず慰謝料を請求できるわけではありません。

また、すでに財産分与を受けており、その財産分与に十分な慰謝料が含まれていると判断される場合には、慰謝料は請求できません。

財産分与や養育費の支払いについて合意ができましたが、将来、その支払いがされなくなることを心配しています。何か対策はありますか?

当事者の取決めを強制執行認諾約款付公正証書にしておくとよいでしょう。このような公正証書を作成しておくことで、相手方の財産に対し、強制執行をすることができます。

相手が公正証書の作成に応じない場合には、合意書を作成しておくことをおすすめします。これらは、調停、審判、裁判となった際に財産分与や養育費について合意があったことの証拠となります。

結婚後に購入した不動産が夫の単独名義になっているのをいいことに、夫が勝手に売却しようとしています。現在、離婚を考えており、この不動産も財産分与の対象になると思うのですが、なんとか売却を止める手段はありませんか?

裁判所に対して、民事保全法に基づいて「処分禁止の仮処分」を申し立てる方法があります。

ただし、民事保全手続では、万が一、相手方(夫)に不当な損害を与えたときに備え、保証金を納めなければならず、裁判所が保証金の額を決定します。

不動産の財産分与をする場合、住宅ローンが残っているときにはどうすればよいですか?

ローン付きの住宅を財産分与により清算する方法は、住宅を売却してその代金でローン債務を返済し、残りを分配する方法のほか、さまざまな方法が考えられ、どの方法が適切かは具体的な状況により変わってきます。このような場合には複雑な判断が必要ですので、不利にならないためにも、弁護士に相談することがおすすめです。

夫はまだ退職していませんが、今離婚しても退職金が財産分与の対象になりますか?

任意に夫が応じる場合には問題ありませんが、裁判手続において分与の対象となるかはケースバイケースです。

というのも、将来の退職金(の額)は、退職に至るまでの見込年数が長いほど、不確定な要素によって左右されることになるからです。

この点に関して、これまでの裁判例によると、退職するまでの期間や勤務先の退職金規程などの事情から、退職金が将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象として認められる傾向があるといわれてきました。もっとも、最近は支給が相当先であっても、退職金が賃金の後払い的性質を有することから、財産分与の対象となると判断されることも多くなっているようです。

ただし、実際にどのように分けるかは過去の裁判例でもさまざまです。離婚時点で分けることを命じたものもあれば、将来支給されたときに分けることを命じたものなどもあります。

すでに支払われた夫の退職金も財産分与の対象になりますか?

財産分与の対象になる可能性があります。

退職金は給与の後払いに近い性質のものであるという考え方が現在の主流です。そうであれば、夫の給与から貯めた貯金が夫婦の共有財産として財産分与の対象になるのと同様に、退職金も財産分与の対象になると考えることができます。

ただし、財産分与の対象となる範囲は、退職金のうち、実質的な婚姻期間中に形成されたといえる部分に限られます。したがって、婚姻関係が悪化してすでに数年間別居しているといった場合には、原則として別居期間中に形成された部分の退職金は財産分与の対象にはならないことに注意が必要です。

離婚したあとでも財産分与の請求はできますか?

離婚後であっても請求可能です。
ただし、当事者の協議によって決めることができない場合には、離婚が成立した日から2年以内に家庭裁判所に調停または審判の申立てをする必要があります。

財産分与について詳しく見る

財産分与により不動産を取得しました。どのような手続を取ればよいでしょうか?

単独名義人となっている配偶者からの譲渡の場合には、所有権移転登記をする必要があります。また、この場合には、不動産取得税が課税される可能性があります。

当事者の共有名義になっている場合には、持ち分の移転登記が必要です。
借地上の建物を財産分与によって取得する場合には、のちのトラブルを避けるため、あらかじめ大家(地主)さんの同意を得ておいたほうがよいでしょう。

婚姻中は共働きをしていました。どのくらい財産分与を受けることができますか?

共働きや配偶者の事業に協力しているケースについては、原則として配偶者に50%の貢献度を認め、特段の事情がある場合には貢献度を増減するという考え方が一般的です。

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