「残業をしているのに、残業代がきちんともらえていない……残業代を請求したい!」
残業代をきっちり支払ってもらえないのはつらいことですよね。
未払い残業代がある場合には、しっかりと請求することが大切です。
未払い残業代を請求するにあたっては、押さえておくべきポイントがあります。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- データで見る大阪府内の残業状況
- 未払い残業代を請求する際の3つのポイント
- 残業代請求でよくある会社の反論
- 大阪府にある残業問題の相談先
データで見る大阪府内の残業状況
厚生労働省の「毎月勤労統計調査地方調査 令和2年平均分結果概要」によると、大阪府の常用労働者の平均残業時間は「8.5時間」です。
これに対して、全国平均は「9.2時間」です。
このことから、大阪府内の平均残業時間は、全国平均と比べてもそれほど変わらない数字だと言えます。
※常用労働者とは、次のいずれかにあたる労働者のことです。
- 期間を定めずに雇われている労働者
- 1ヶ月を超える期間を定めて雇われている労働者
- 1ヶ月以内の期間を定めて雇われている労働者等のうち、当該年の前年の11月および12月の各月にそれぞれ18日以上雇用された者
参考:毎月勤労統計調査地方調査 令和2年平均分結果概要|厚生労働省
未払い残業代を請求する際の3つのポイント
大阪府の平均残業時間は全国平均とそれほど変わらない数字ですが、実際にはこの統計データに全ての残業が反映されているわけではありません。
いわゆるサービス残業など、残業代が支払われていないような残業については、この統計データに含まれていない可能性があります。
せっかく残業をしたのに残業代が支払われないのはつらいものですよね。
未払い残業代はしっかりと請求することが大切です。
未払い残業代を請求する際には、次のとおり3つのポイントがあります。
- いくら残業代を請求できるのか確認する
- 残業代請求の消滅時効が完成していないか確認する
- 残業代請求に必要な証拠を十分に集める
これらについてご説明します。
(1)ポイント1|いくら残業代を請求できるのか確認する
まずは、いくら残業代を請求できるのか確認しましょう。
請求できる残業代がいくらになるのかは、会社が計算してくれるわけではなく、労働者側で計算しなければなりません。
残業代は、次の計算式で求めることができます。
残業代の額=1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間
この式に基づいて残業代の額を計算すれば、請求できる残業代の額を正確に算出することができます。
ご自身で計算式にあてはめて計算するのは、難しいかもしれません。
そんなときのために、アディーレ法律事務所のウェブサイトには、「残業代かんたん計算ツール」というページがあります。
※簡易な計算をするものであるため、実際に請求できる額とは異なることがあります。
(1-1)1時間当たりの基礎賃金
「1時間当たりの基礎賃金」とは、一定の手当を除いた月の給与(基礎賃金)を月所定労働時間で割ることによって計算します。
この「一定の手当」とは、個人の事情に基づいて支給される手当のうち、法令で定められたもののことです。
「一定の手当」には、例えば、通勤手当、家族手当、住宅手当などがあります。
(1-2)割増率
「時間外労働」、「休日労働」、「深夜労働」をした場合には、それぞれについて法令で定められた割増率によって割り増した賃金(割増賃金)をもらうことができます。
「時間外労働」とは、原則1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた労働のことです。
「休日労働」とは、週1日または4週につき4日の法定休日における労働のことです。
「深夜労働」とは、原則22~5時の時間帯における労働のことです。
これらの労働に対する法律で定められた割増賃金の割増率は、次の表のとおりです。
割り増しの理由 | 割増率 |
---|---|
時間外労働(月60時間以下) | 25%以上 |
時間外労働(月60時間超) | 50%以上 |
休日労働(=法定休日に労働した場合) | 35%以上 |
深夜労働(=原則22~5時までの時間帯に労働した場合) | 25%以上 |
時間外労働(月60時間以下)+深夜労働 | 50%以上 |
時間外労働(月60時間超)+深夜労働 | 75%以上 |
休日労働+深夜労働 | 60%以上 |
※時間外労働(月60時間超)の場合の割増率について、2023年4月1日より前までは中小企業への適用が猶予されています。
2023年4月1日からは、中小企業にも適用されます。
※各条件が重複する場合は、各割増率を足した率で計算されます。
例えば、時間外労働(月60時間以下)かつ深夜労働の部分には、25%+25%=50%の割増率が適用されます。
(1-3)残業時間
残業時間とは、実際に残業をした時間です。
証拠に基づいて、実際にどれだけの時間にわたって残業をしていたのかを算出します。
残業時間に関する証拠については、後でご説明します。
(2)ポイント2|残業代請求の消滅時効が完成していないか確認する
次に、残業代請求の「消滅時効」が完成していないかを確認しましょう。
「消滅時効」とは、権利を行使しないまま一定の期間が経過するとその後は権利を行使することができなくなってしまうという制度のことです。
残業代はいつまででも遡って請求できるわけではなく、消滅時効が完成する前に請求しなければなりません。
残業代請求の場合の消滅時効期間は、支払日から「2年」または「3年」です。
2020年4月1日以降に支払日が到来した残業代請求権:3年
2020年4月1日より前に支払日が到来した残業代請求権:2年
例えば、2020年3月25日が支払日である残業代請求権は、2022年3月25日が経過すると消滅時効により行使することができなくなります。
また、2020年4月25日が支払日である残業代請求権は、2023年4月25日が経過すると消滅時効により行使することができなくなります。
(3)ポイント3|残業代請求に必要な証拠を十分に集める
残業代請求のためには、証拠が必要です。
残業代請求の際に証拠となるものは、主に次のようなものがあります。
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 就業規則
- 賃金規程
- 給与明細書
- 賃金台帳の写し
- タイムカードの写し
- Web打刻のスクリーンショット
- タコグラフ(タコメーター)の写し(※主にドライバーの方)
- 日報、業務日報などの写し
証拠は、できるだけ十分にあるほうが望ましいです。
まずは自分で集められるだけ証拠を集めましょう。
十分な証拠が手元になく、集めることも難しいです。
残業代請求はできないのでしょうか……。
十分な証拠が手元にない場合でも諦めるのは早いです!
そのような場合でも対処法があります。
証拠が手元にない場合には、会社に対して証拠の開示請求を行うことで、証拠を手に入れられる可能性があります。
会社に対する証拠の開示請求は、ご自身で行うのではなく弁護士に依頼して行う方法もあります。
弁護士を通して証拠の開示請求をすることで、会社が証拠の開示に応じてくれる可能性が高まります。
残業代請求でよくある会社の反論
残業代請求をした場合、会社が次のような反論をしてくることがあります。
- 固定残業代制を採用しているから残業代は出ない
- 管理監督者に該当するから残業代は出ない
しかし、全ての場合にこれらの反論が通用するわけではありません。
これらの反論が通用しない場合も多くあります。
このため、このような反論を受けたとしても、あきらめずに残業代請求をすることが大切です。
これらの反論についてご説明します。
(1)反論1|固定残業代制を採用している
「固定残業代制を採用しているから残業代は出ない」と反論されることがあります。
「固定残業代制」とは、あらかじめ一定時間分の残業を見越して残業代を固定額で支払っておき、それに対応して一定時間分の残業をしたものとみなすという残業代の支払い方です。
例えば、10時間分の残業をしたものとみなして、それに対して一定額の残業代をあらかじめ支払うものとする、というような残業代の支払い方などがあります。
この場合、5時間しか残業しなかったとしても、10時間残業したものとみなされて10時間分の固定残業代が支払われます。
固定残業代制を採用している場合、「一定額の残業代を支払っているのだから残業代はそれ以上出ない」と考えて残業代が支払われないことがあります。
しかし、それは間違いです。
固定残業代制の下でも、あらかじめみなされた残業時間を超えて残業をした場合には、超えた残業については残業代をもらうことができます。
例えば、「10時間分の残業をしたものとみなす」という場合に15時間残業した場合には、みなされた残業時間を超えた5時間分について、別途残業代をもらうことができるのです。
さらに、固定残業代制が無効となる場合もあります。
固定残業代制が無効となる場合には、残業代が有効に支払われていないものとされ、あらためて未払い残業代を請求することができます。
(2)反論2|管理監督者に該当する
「管理監督者に該当するから残業代は出ない」と反論されることがあります。
「管理監督者」とは、労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことです。
このような管理監督者にあたる場合、労働基準法の労働時間のルールが適用されないため、深夜労働の残業代を除いて、残業代が出ません。
もっとも、実際に労働基準法上の管理監督者に該当するケースは決して多くありません。
名目上は「管理職」とされていても、労働基準法上の管理監督者にはあたらないと判断されるケースが多くあります。
管理監督者にあたるかどうかは、肩書などの名目ではなく、働き方などの実態に即して判断されます。
管理監督者にあたらないのに、管理監督者にあたると誤って取り扱われて残業代が支払われていない場合には、未払いになっている分の残業代を請求することができます。
相談してみましょう!大阪府にある残業問題の相談先
大阪府には、残業問題の相談先がいくつかあります。
大阪府の残業問題の相談先についてご紹介します。
(1)相談先1|大阪労働局 総合労働相談コーナー
大阪労働局の「総合労働相談コーナー」は、あらゆる分野の労働問題について相談することのできる公的な相談窓口です。
残業問題についても相談することができます。
- 大阪労働局 総合労働相談コーナー
電話番号:06-7660-0072
郵便番号:540-8527
住所:大阪府大阪市中央区大手前4-1-67 大阪合同庁舎第2号館8階
大阪労働局の総合労働相談コーナーのほかにも、労働基準監督署内など大阪府内13ヶ所に総合労働相談コーナーが設置されています。
参考:「総合労働相談コーナー」のご案内|厚生労働省 大阪労働局
(2)相談先2|労働基準監督署
労働基準監督署は、会社が労働基準関係法令をしっかりと守っているかを調査・監督する公的機関です。
残業代が未払いになっているなど、労働基準関係法令に違反している実態がある場合には、労働基準監督署にそのことを相談することができます。
労働基準監督署に対して残業問題を相談することで、法令違反の事実があると労働基準監督署が認めれば、会社に対して調査・是正勧告をする可能性があります。
このような調査・是正勧告の結果として、会社が未払いになっている残業代を支払ってくれる可能性があります。
- 大阪中央労働基準監督署
電話番号:06-7669-8726(監督)
郵便番号:540-0003
住所:大阪市中央区森ノ宮中央1-15-10
その他、大阪府内12ヶ所に労働基準監督署があります。
参考:労働基準監督署管轄地域と所在地一覧|厚生労働省 大阪労働局
(3)相談先3|大阪府労働相談センター
大阪府労働相談センターは、労働問題に関する相談を弁護士などの専門家にすることができる公的な相談窓口です。
臨床心理士等によるメンタルヘルス専門相談も用意されています。
- 大阪府労働相談センター
電話番号:06-6946-2600
郵便番号:540-0033
住所:大阪市中央区石町2-5-3 大阪府立労働センター(エル・おおさか)南館3階
参考:労働相談|大阪府
大阪府内で残業問題の弁護士を選ぶならアディーレ法律事務所も選択肢のひとつ
大阪府内で残業問題の弁護士を選ぶなら、アディーレ法律事務所も選択肢のひとつです。
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大阪府内に4つの支店|アディーレ法律事務所の各支店紹介
アディーレ法律事務所は、大阪府内に次の4つの支店があります。
- 大阪支店
- なんば支店
- 堺支店
- 枚方支店
(1-1)支店1|大阪支店
- 住所
〒530-0001
大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー13F
電車でお越しの際のアクセスは、次のとおりです。
JR「大阪駅」から徒歩5分
JR東西線「北新地駅」から徒歩5分
大阪市営地下鉄四つ橋線「西梅田駅」から徒歩3分
阪神「梅田駅」から徒歩5分
車でお越しの際は、次の駐車場を無料でご利用いただけます。
ブリーゼタワー
大阪府大阪市北区梅田2-4-9
※ブリーゼタワーB2
※入庫は11時~となります。
桜橋駐車場
大阪府大阪市北区梅田1-1-7
※一般国道2号下
※ブリーゼ駐車場がご利用いただけない場合は、桜橋駐車場をご利用ください。
(1-2)支店2|なんば支店
- 住所
〒556-0011
大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークスタワー10F
電車でお越しの際のアクセスは、次のとおりです。
南海電鉄「なんば駅」中央口・南口直結
地下鉄御堂筋線「なんば駅」南改札口より徒歩7分
車でお越しの際は、次の駐車場を無料でご利用いただけます。
なんばパークス駐車場
大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70
※パークス通側に、なんばパークス駐車場出入口があります
(1-3)支店3|堺支店
- 住所
〒590-0075
大阪府堺市堺区南花田口町2-3-20 三共堺東ビル7F
電車でお越しの際のアクセスは、次のとおりです。
南海電鉄「堺東駅」北西口より徒歩1分
車でお越しの際は、次の駐車場を無料でご利用いただけます。
タイムズ堺東駅第11
大阪府堺市堺区南花田口町2-2
※堺東駅周辺のタイムズ24であれば、サービス券お渡し可能(上記が最寄り)。詳しくはお問合せください。
(1-4)支店4|枚方支店
- 住所
〒573-1191
大阪府枚方市新町1-12-1 関医アネックス第2ビル4F
電車でお越しの際のアクセスは、次のとおりです。
京阪電気鉄道京阪線「枚方市駅」から徒歩5分
車でお越しの際は、次の駐車場を無料でご利用いただけます。
タイムズ枚方岡本町立体駐車場
大阪府枚方市岡本町11
【まとめ】まずはいくら残業代を請求できるのかを確認しましょう
この記事のまとめは次のとおりです。
- 大阪府の常用労働者の平均残業時間は「8.5時間」。これは、全国平均(9.2時間)とそれほど変わらない数字。
- 未払い残業代を請求する際のポイントとして、いくら残業代を請求できるのか確認すること、残業代請求に必要な証拠を十分に集めることなどがある。
- 残業代請求では、会社が反論してくることがある。よくある反論として、「固定残業代制を採用しているから残業代は出ない」「管理監督者に該当するから残業代は出ない」などがある。これらの反論にかかわらず、残業代を請求できることも多い。
- 大阪府内には残業問題の相談先がいくつかある。例えば、「大阪労働局総合労働相談コーナー」などはそのうちのひとつ。
- 大阪府内で残業問題の弁護士を選ぶなら、アディーレ法律事務所も選択肢のひとつ。大阪府内にはアディーレ法律事務所の支店が4つある。
もらえるはずの残業代は、しっかりと請求することが大切です。
残業代を請求することは労働者の権利。
遠慮なく残業代を請求しましょう。
アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からのお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
残業代請求でお悩みの方は、残業代請求に詳しいアディーレ法律事務所へご相談ください。
弁護士に相談に来られる方々の事案は千差万別であり、相談を受けた弁護士には事案に応じた適格な法的助言が求められます。しかしながら、単なる法的助言の提供に終始してはいけません。依頼者の方と共に事案に向き合い、できるだけ依頼者の方の利益となる解決ができないかと真撃に取り組む姿勢がなければ、弁護士は依頼者の方から信頼を得られません。私は、そうした姿勢をもってご相談を受けた事案に取り組み、皆様方のお役に立てられますよう努力する所存であります。